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盗撮
紘人が2枚の写真を受け取ったその夜、裏サイト「但馬紘人の部屋」では
この部屋の住人たちをさらに興奮させるものが公開されていた。
>えらい!でかした!
>紘人のヌード公開!
>すげ~どうやって仕掛けたんだ~
>仕掛けたやつ神だ!
>締って鍛えたケツがヤバいぞ
>競パン跡くっきりじゃん
>チンコがブラブラしてっぞ
>ちょっと皮かぶってるんじゃね
>予想よりデカイかも
>毛もしっかり生えてんだな
>俺鼻血出そうw
>俺なんかもうこれで2発抜いちゃったぜ
彼らがいつも以上に興奮して見ているもの
それは紘人を映し出した2つの動画。
ひとつはシャワー室でシャワーを浴びているもの。
もうひとつは更衣室で着替えをしているもの。
どちらも部屋の天井付近に仕掛けられたと思われるカメラから
鮮明な画像で紘人を捉えていた。
>紘人の身体はやっぱ違うな
>女に汚れてない身体だからな
>チンポの色もキレイだ
>しっかしキレイに撮れてるな!褒めてやる!
>これどうやって撮ったんだ?
>忍び込んだやつ神
紘人が競パンを脱ぎ、全裸のままバスタオルで体を拭く姿がしっかりと映し出されている。
動画には紘人以外のメンバーも映されているが、そこにはぼかしが入れてあり、紘人だけが鮮明に見えるように細工までしてある。
>この動画を写真にして紘人に送ってやったぜ!
>紘人ビックリ!
>マジか!バレルじゃん!紘人のヌードが~
>安心しろ!使ったカメラは回収済みだ
>じゃあもう見れないな
>え~ もっと見たいぞ!
>もっといいもん見せてやる。もう仕掛けはできている
>もっといいもんってなんだ!紘人の入浴シーンとか?
>多分もっとエロいのが見れるぜ
>楽しみだ~
投稿者の語るもっといいものとは何か?
いったい何を仕掛けたというのだろうか?
その頃、紘人は眠れない夜を過ごしていた。
紘人が2枚の写真を受け取ったその夜、裏サイト「但馬紘人の部屋」では
この部屋の住人たちをさらに興奮させるものが公開されていた。
>えらい!でかした!
>紘人のヌード公開!
>すげ~どうやって仕掛けたんだ~
>仕掛けたやつ神だ!
>締って鍛えたケツがヤバいぞ
>競パン跡くっきりじゃん
>チンコがブラブラしてっぞ
>ちょっと皮かぶってるんじゃね
>予想よりデカイかも
>毛もしっかり生えてんだな
>俺鼻血出そうw
>俺なんかもうこれで2発抜いちゃったぜ
彼らがいつも以上に興奮して見ているもの
それは紘人を映し出した2つの動画。
ひとつはシャワー室でシャワーを浴びているもの。
もうひとつは更衣室で着替えをしているもの。
どちらも部屋の天井付近に仕掛けられたと思われるカメラから
鮮明な画像で紘人を捉えていた。
>紘人の身体はやっぱ違うな
>女に汚れてない身体だからな
>チンポの色もキレイだ
>しっかしキレイに撮れてるな!褒めてやる!
>これどうやって撮ったんだ?
>忍び込んだやつ神
紘人が競パンを脱ぎ、全裸のままバスタオルで体を拭く姿がしっかりと映し出されている。
動画には紘人以外のメンバーも映されているが、そこにはぼかしが入れてあり、紘人だけが鮮明に見えるように細工までしてある。
>この動画を写真にして紘人に送ってやったぜ!
>紘人ビックリ!
>マジか!バレルじゃん!紘人のヌードが~
>安心しろ!使ったカメラは回収済みだ
>じゃあもう見れないな
>え~ もっと見たいぞ!
>もっといいもん見せてやる。もう仕掛けはできている
>もっといいもんってなんだ!紘人の入浴シーンとか?
>多分もっとエロいのが見れるぜ
>楽しみだ~
投稿者の語るもっといいものとは何か?
いったい何を仕掛けたというのだろうか?
その頃、紘人は眠れない夜を過ごしていた。
写真
封筒が投げ込まれていたあの日から一週間、
俺の部屋には毎日同じように白い封筒が届くようになった。
毎回たった一言の文章とどこかから盗み撮られたであろう俺の写真が封入されている。
俺は朝早く部屋を出ると夜まで部屋には帰らない。
俺の留守中に訪れて封筒をドアに挟んでいくのは簡単なことだ。
だけど一体誰がこんなことを・・・
最初はトモキが言うように、俺に着のある女が俺の気を引くためにやっているのかと
思ってまんざらでもない気分だった。
もし本人が現われて告白でもされたらお付き合いでもして
あわよくば童貞を捨てられるかもなんて能天気なことも思ったり。
だがそう簡単な話ではないと気づいたのは昨日の封筒だった。
写真の多くは海岸での俺の姿を撮ったものだったのが、昨日届いた写真は
俺がコンビニで立ち読みしている姿を店の外から撮影したものだった。
添えてある紙には「待っていて」の一言が書かれていた。
今日、俺はトレーニング中も監視活動中もその一言の文章が頭から離れなかった。
昼の休憩時間、俺は事情を知っているトモキにその写真と手紙を見せた
「これっていわゆるストーカーって奴っすかね」
「やっぱ・・・そうだよな」
おれは困った風に頭を掻いてみる
「コンビニまで追い掛けてきて、さらにこの一言はヤバいでしょ」
「なんか俺怖くなってきた」
「なんか心あたりないんすか?最近振った女とか、冷たくあしらった女とか」
「俺にそんなことあるわけないだろ・・・」
「そうでした。先輩は見てくれだけで童貞君っすからね、女にそんなことできないか」
「童貞は関係ないだろ!」
「先輩あま~い。先輩のその顔で童貞ってのは希少価値があるんすよ
先輩の童貞狙ってる女がうようよいるんすからね」
「おま・・・あんまデカイ声で童貞童貞言うなよ」
「いつもは自分で平気で童貞ですって言ってるじゃないっすか。
とにかく、誰でもいいからさっさと彼女作っちゃったら
変な女もあきらめるんじゃないっすか」
「誰でもいいって・・・そんな無責任な・・・」
そんなやりとりをしているうちに俺たちの休憩時間は終わってしまった。
たしかにトモキの言うとおり、俺が誰かと付き合えば、封筒を入れてくる女も
あきらめるかもしれない。
でもその解決策は俺にとってはかなりハードルが高い。
誰でもいいからってつき合えれば、おれはとっくに童貞を捨てているはずだ。
「あ~ どうしたらいいんだ~」
俺は監視台に座り頭を抱えた。
今日も部屋に帰ればあの封筒が待っているのかと思うと気が重かった。
夜になり活動が終わりコンビニで弁当を買って部屋に帰る。
その間も誰かに見られてる気がして落ち着かない
今日も一日誰かが俺を盗み撮りしてないかと周りに気をくばりすぎて
普段の倍以上疲れてしまった。
重い足取りでたどり着いた部屋のドアにはまたあの封筒が差し込まれている。
ため息をつきながら取り出しすと今日は写真が2枚はいっている。
その写真を見て俺は唖然とする。
「そんな・・・こんなとこまで・・・」
そこに写っていたのは、1枚はシャワーを浴びている俺
もう一枚は更衣室で着替えをしている俺だった。
封筒が投げ込まれていたあの日から一週間、
俺の部屋には毎日同じように白い封筒が届くようになった。
毎回たった一言の文章とどこかから盗み撮られたであろう俺の写真が封入されている。
俺は朝早く部屋を出ると夜まで部屋には帰らない。
俺の留守中に訪れて封筒をドアに挟んでいくのは簡単なことだ。
だけど一体誰がこんなことを・・・
最初はトモキが言うように、俺に着のある女が俺の気を引くためにやっているのかと
思ってまんざらでもない気分だった。
もし本人が現われて告白でもされたらお付き合いでもして
あわよくば童貞を捨てられるかもなんて能天気なことも思ったり。
だがそう簡単な話ではないと気づいたのは昨日の封筒だった。
写真の多くは海岸での俺の姿を撮ったものだったのが、昨日届いた写真は
俺がコンビニで立ち読みしている姿を店の外から撮影したものだった。
添えてある紙には「待っていて」の一言が書かれていた。
今日、俺はトレーニング中も監視活動中もその一言の文章が頭から離れなかった。
昼の休憩時間、俺は事情を知っているトモキにその写真と手紙を見せた
「これっていわゆるストーカーって奴っすかね」
「やっぱ・・・そうだよな」
おれは困った風に頭を掻いてみる
「コンビニまで追い掛けてきて、さらにこの一言はヤバいでしょ」
「なんか俺怖くなってきた」
「なんか心あたりないんすか?最近振った女とか、冷たくあしらった女とか」
「俺にそんなことあるわけないだろ・・・」
「そうでした。先輩は見てくれだけで童貞君っすからね、女にそんなことできないか」
「童貞は関係ないだろ!」
「先輩あま~い。先輩のその顔で童貞ってのは希少価値があるんすよ
先輩の童貞狙ってる女がうようよいるんすからね」
「おま・・・あんまデカイ声で童貞童貞言うなよ」
「いつもは自分で平気で童貞ですって言ってるじゃないっすか。
とにかく、誰でもいいからさっさと彼女作っちゃったら
変な女もあきらめるんじゃないっすか」
「誰でもいいって・・・そんな無責任な・・・」
そんなやりとりをしているうちに俺たちの休憩時間は終わってしまった。
たしかにトモキの言うとおり、俺が誰かと付き合えば、封筒を入れてくる女も
あきらめるかもしれない。
でもその解決策は俺にとってはかなりハードルが高い。
誰でもいいからってつき合えれば、おれはとっくに童貞を捨てているはずだ。
「あ~ どうしたらいいんだ~」
俺は監視台に座り頭を抱えた。
今日も部屋に帰ればあの封筒が待っているのかと思うと気が重かった。
夜になり活動が終わりコンビニで弁当を買って部屋に帰る。
その間も誰かに見られてる気がして落ち着かない
今日も一日誰かが俺を盗み撮りしてないかと周りに気をくばりすぎて
普段の倍以上疲れてしまった。
重い足取りでたどり着いた部屋のドアにはまたあの封筒が差し込まれている。
ため息をつきながら取り出しすと今日は写真が2枚はいっている。
その写真を見て俺は唖然とする。
「そんな・・・こんなとこまで・・・」
そこに写っていたのは、1枚はシャワーを浴びている俺
もう一枚は更衣室で着替えをしている俺だった。
裏サイト
薄暗い部屋の中、パソコンを操作する男。
男がアイコンをクリックすると怪しげなデザインのサイトが開く。
男の手がパスワードを入力する。
タイトルは
『(裏)但馬紘人の部屋』
とある。
男がさらに先を開くと紘人の写った100枚以上の写真がならんでいる
そこには海岸で活動する紘人の姿を撮影したもの以外に
コンビニで立ち読みをしている写真や銭湯で着替えている写真もある。
他にも紘人の小学校の頃の写真や高校のクラスメイトとの写真も並んでいる。
身辺調査の覧を開くと、紘人のプロフィールが紹介されている。
本名 但馬紘人
生年月日 1993年10月6日生れ
身長 176センチ 体重68キロ
チンコの長さ 通常10センチ 勃起時15センチ
兄弟 2つ上の兄と4つ下の弟の3人兄弟
ペット 10歳の時から飼っている犬のロメオが実家に1匹
今まで付き合った女の数 3人
セックスをした回数 0回
そしてまるで有名人のウィキペディアのように、紘人の生れた病院からはじまり保育園、公文塾、スイミングスクール、小学校、骨折で入院した病院、高校まで、紘人が関わった多くの施設の名前や場所も順番に並んでいる。
閲覧者はチャット形式で会話をし、日々更新される紘人の情報で盛り上がっている。
>紘人は20歳で童貞ってホント?
>ホントらしいね。つきあってもそこまでいかない草食系
>ただの奥手だろう
>実はホモだったってことはある?
>それはなさそう。ノンケのAVを借りてるとこ見た
>マジか!それは残念 どんなやつ借りてたんだ?
>「団地妻 蜜のしたたり」
>人妻もんかよ!年上好きか?
>奥手な奴ほど年上にあこがれるw
>レイプもんも借りてったよ
>マジか!自分がレイプされるために勉強させとけ
>紘人の童貞を奪うのは誰だ!
>俺だ!
>童貞じゃなくて処女奪うんだろ!
>初キスは済んでるのか?
>高校時代の彼女かすみちゃんとファーストキス経験済みっす
>それは残念
>紘人の唇は甘そうだw
>あ~我慢できねえ!決行はいつだ!
>あせるなあせるなw計画は今日スタートしたよ!
>マジか!
>手始めにメッセージ付きで写真をドアに挟んどいた
>反応は!
>意味不明で途方にくれてたよ
>だろうな。
>紘人の困惑の表情見たかった
>さすがに写真なしか
>これからどんどん紘人を追い詰めるぜ!
>脅える紘人の表情が楽しみだ!
>写真たのんます!
こんな風に彼らの会話は夜遅くまでつづいていく
明らかに紘人をターゲットにした裏サイト。
一体誰が何の目的でたちあげたのか?
そのころ、ネットで自分の話題が盛り上がっているとは知らない紘人は
昼間の活動の疲れからパンツ一枚の姿でぐっすりと眠っているのだった。
薄暗い部屋の中、パソコンを操作する男。
男がアイコンをクリックすると怪しげなデザインのサイトが開く。
男の手がパスワードを入力する。
タイトルは
『(裏)但馬紘人の部屋』
とある。
男がさらに先を開くと紘人の写った100枚以上の写真がならんでいる
そこには海岸で活動する紘人の姿を撮影したもの以外に
コンビニで立ち読みをしている写真や銭湯で着替えている写真もある。
他にも紘人の小学校の頃の写真や高校のクラスメイトとの写真も並んでいる。
身辺調査の覧を開くと、紘人のプロフィールが紹介されている。
本名 但馬紘人
生年月日 1993年10月6日生れ
身長 176センチ 体重68キロ
チンコの長さ 通常10センチ 勃起時15センチ
兄弟 2つ上の兄と4つ下の弟の3人兄弟
ペット 10歳の時から飼っている犬のロメオが実家に1匹
今まで付き合った女の数 3人
セックスをした回数 0回
そしてまるで有名人のウィキペディアのように、紘人の生れた病院からはじまり保育園、公文塾、スイミングスクール、小学校、骨折で入院した病院、高校まで、紘人が関わった多くの施設の名前や場所も順番に並んでいる。
閲覧者はチャット形式で会話をし、日々更新される紘人の情報で盛り上がっている。
>紘人は20歳で童貞ってホント?
>ホントらしいね。つきあってもそこまでいかない草食系
>ただの奥手だろう
>実はホモだったってことはある?
>それはなさそう。ノンケのAVを借りてるとこ見た
>マジか!それは残念 どんなやつ借りてたんだ?
>「団地妻 蜜のしたたり」
>人妻もんかよ!年上好きか?
>奥手な奴ほど年上にあこがれるw
>レイプもんも借りてったよ
>マジか!自分がレイプされるために勉強させとけ
>紘人の童貞を奪うのは誰だ!
>俺だ!
>童貞じゃなくて処女奪うんだろ!
>初キスは済んでるのか?
>高校時代の彼女かすみちゃんとファーストキス経験済みっす
>それは残念
>紘人の唇は甘そうだw
>あ~我慢できねえ!決行はいつだ!
>あせるなあせるなw計画は今日スタートしたよ!
>マジか!
>手始めにメッセージ付きで写真をドアに挟んどいた
>反応は!
>意味不明で途方にくれてたよ
>だろうな。
>紘人の困惑の表情見たかった
>さすがに写真なしか
>これからどんどん紘人を追い詰めるぜ!
>脅える紘人の表情が楽しみだ!
>写真たのんます!
こんな風に彼らの会話は夜遅くまでつづいていく
明らかに紘人をターゲットにした裏サイト。
一体誰が何の目的でたちあげたのか?
そのころ、ネットで自分の話題が盛り上がっているとは知らない紘人は
昼間の活動の疲れからパンツ一枚の姿でぐっすりと眠っているのだった。
封筒
「あれ?これなんだ?」
アパートの自室に戻った俺はドアに挟まった一通の白い封筒を手にしていた。
「先輩どうしたんですか?」
俺に声を掛けたのは隣の部屋に住む後輩のトモキ。
「これ・・・ドアに挟んであった」
「なんすか?もしかしてラブレターすか」
からかい口調で大声で話しかけるトモキの頭をつつき
俺は白い封筒を開けた
『こんにちは紘人くん。よろしく』
たった一行の簡潔な文章。しかもパソコンで打っただろう味気のないフォント文字。
それが印刷された白い用紙には一枚の写真が挟まれていた。
その写真にはレスキューボードを片手に海から上がる俺の姿が写っている
「なんだこれ?」
横で見ていたトモキも訝しげな顔つきに変わる
「なんでしょうね。ラブレターにしてはかなり簡素っすよね。
それにこの写真、先輩でしょ?3日前にトレーニングでボードした時っすよね」
たしかにその時初めて着たラッシュガード姿の俺が写っている。
ということは3日前で間違いなさそうだ。
「女っすかね。これって隠し撮りじゃないんすか。
先輩のファンが先輩に気づいてほしくて送ってきたんですよ」
「なんで俺にファンがいるんだよ!俺の写真撮っても意味ないじゃん」
「先輩はこれだから・・・・」
トモキが冷たい目で俺を見る
「先輩は自分がモテナイって思ってるみたいっすけど、先輩が好きって子はたくさんいるんすよ。
そういうとこほんと疎いっすよね」
「なんだよ疎いって・・・」
たしかに俺は女のこととなると疎い。
着るものや髪型なんかもほとんど気にしない俺が女にモテルとは思えなかった
女は好きだし、女友達もたくさんいる。
でも俺は女と遊ぶより海にいる方が良かった。
今現在個人的に付きっている女もなく、この歳になっても童貞のままだ。
平気で童貞を公言する俺に回りの目は冷たかった
「お前は見てくれだけは良くてモテルるくせに努力しないからだろ!贅沢もんが!」
見てくれだけとは余計な御世話だ。
高校の時も女から告られて何度かお付き合いをしたことがある。
しかし、いざ女と二人きりになると何を話していいか分からなくなり
無口になってしまい、結局は自然消滅。
そんな気まずい時間を過ごすより、海で活動している方が俺にはずっと幸せなのだ。
だがそんな風だから俺はいつまでたっても童貞を捨てるチャンスを掴めず
さらに見てくれはいいけど面白くない男というレッテルまで貼られてしまった。
「先輩は気づいてないところで女泣かしてるんすよ」
俺にそう言い放ってトモキは自分の部屋に入っていった。
自分の写った一枚の写真
俺はそれを持ってドアの前で途方にくれた
「あれ?これなんだ?」
アパートの自室に戻った俺はドアに挟まった一通の白い封筒を手にしていた。
「先輩どうしたんですか?」
俺に声を掛けたのは隣の部屋に住む後輩のトモキ。
「これ・・・ドアに挟んであった」
「なんすか?もしかしてラブレターすか」
からかい口調で大声で話しかけるトモキの頭をつつき
俺は白い封筒を開けた
『こんにちは紘人くん。よろしく』
たった一行の簡潔な文章。しかもパソコンで打っただろう味気のないフォント文字。
それが印刷された白い用紙には一枚の写真が挟まれていた。
その写真にはレスキューボードを片手に海から上がる俺の姿が写っている
「なんだこれ?」
横で見ていたトモキも訝しげな顔つきに変わる
「なんでしょうね。ラブレターにしてはかなり簡素っすよね。
それにこの写真、先輩でしょ?3日前にトレーニングでボードした時っすよね」
たしかにその時初めて着たラッシュガード姿の俺が写っている。
ということは3日前で間違いなさそうだ。
「女っすかね。これって隠し撮りじゃないんすか。
先輩のファンが先輩に気づいてほしくて送ってきたんですよ」
「なんで俺にファンがいるんだよ!俺の写真撮っても意味ないじゃん」
「先輩はこれだから・・・・」
トモキが冷たい目で俺を見る
「先輩は自分がモテナイって思ってるみたいっすけど、先輩が好きって子はたくさんいるんすよ。
そういうとこほんと疎いっすよね」
「なんだよ疎いって・・・」
たしかに俺は女のこととなると疎い。
着るものや髪型なんかもほとんど気にしない俺が女にモテルとは思えなかった
女は好きだし、女友達もたくさんいる。
でも俺は女と遊ぶより海にいる方が良かった。
今現在個人的に付きっている女もなく、この歳になっても童貞のままだ。
平気で童貞を公言する俺に回りの目は冷たかった
「お前は見てくれだけは良くてモテルるくせに努力しないからだろ!贅沢もんが!」
見てくれだけとは余計な御世話だ。
高校の時も女から告られて何度かお付き合いをしたことがある。
しかし、いざ女と二人きりになると何を話していいか分からなくなり
無口になってしまい、結局は自然消滅。
そんな気まずい時間を過ごすより、海で活動している方が俺にはずっと幸せなのだ。
だがそんな風だから俺はいつまでたっても童貞を捨てるチャンスを掴めず
さらに見てくれはいいけど面白くない男というレッテルまで貼られてしまった。
「先輩は気づいてないところで女泣かしてるんすよ」
俺にそう言い放ってトモキは自分の部屋に入っていった。
自分の写った一枚の写真
俺はそれを持ってドアの前で途方にくれた
序章
俺は20歳の大学生 紘人(ひろと)。
大学ではライフセーバー部に所属している。
今年の夏の猛暑の中でも、日々のトレーニングと海岸の監視活動に
俺の生活の全てを費やしている。
俺が活動している海岸は片田舎の海岸でそんなに広くはない。
訪れる海水浴客も地元の家族連れや学生がほとんどだ。
俺自身この海から少し離れた街で育ったから、小さい頃から
海水浴といえばこの海岸で、家族で来たり友達と自転車で1時間かけて
泳ぎにきたりしていた。
波もそんなに高くない静かな海岸が俺は好きだった。
この海でライフセーバーがしたくて中学で水泳部に入り、大学も海の見える
位置にある大学を選んだ。
実家から大学まで通うこともできたが、ライフセーバー生活に集中したくて
親に無理をいって海と大学の間にある安アパートに一人で暮らしている。
夏のほとんどを海で過ごすという充実した生活に俺は満足だった。
そんな俺の充実した生活に暗い影を落とす出来事が始まったのは
海水浴客も増え忙しい時期を迎えた8月の初旬のことだった。
*画像はイメージです
読んでる方それぞれのイメージでお楽しみください
俺は20歳の大学生 紘人(ひろと)。
大学ではライフセーバー部に所属している。
今年の夏の猛暑の中でも、日々のトレーニングと海岸の監視活動に
俺の生活の全てを費やしている。
俺が活動している海岸は片田舎の海岸でそんなに広くはない。
訪れる海水浴客も地元の家族連れや学生がほとんどだ。
俺自身この海から少し離れた街で育ったから、小さい頃から
海水浴といえばこの海岸で、家族で来たり友達と自転車で1時間かけて
泳ぎにきたりしていた。
波もそんなに高くない静かな海岸が俺は好きだった。
この海でライフセーバーがしたくて中学で水泳部に入り、大学も海の見える
位置にある大学を選んだ。
実家から大学まで通うこともできたが、ライフセーバー生活に集中したくて
親に無理をいって海と大学の間にある安アパートに一人で暮らしている。
夏のほとんどを海で過ごすという充実した生活に俺は満足だった。
そんな俺の充実した生活に暗い影を落とす出来事が始まったのは
海水浴客も増え忙しい時期を迎えた8月の初旬のことだった。
*画像はイメージです
読んでる方それぞれのイメージでお楽しみください